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ストレートな愛情表現ではありますが…

僕がまだ幼少の頃、実家にあったのは今思えば真空管で家具調のオーディオだった。
祖父が買ったもので、応接間に置いてあった。
確かビクターで、モノラルだったんじゃないかと思う。
電源を入れるとゆっくりと灯りが付いて、少し経つと音が出るようになる、って感じじゃなかったかな。

不思議なことにあの暖かい音の感触を、空気感のように今でもちゃんと思い出せる。
全然ハイファイじゃないし、こもったような感じだったけど、あのまあるい音が好きだった。
包み込まれるような、そんな感じの柔らかい音。

子供だったからLPやアルバムは持ってなかったけど、シングル盤と同じサイズで4曲入りのEP(コンパクト盤)があった。
それを間違えて45回転でかけたり、45回転のシングル盤を33回転でかけたりすると、音(ピッチ)が変わっちゃって、すごく変で、面白くて面白くて笑い転げてた。
たかだか回転数が違うだけだけど、子供にとっては斬新な遊びだった。

今回回転数をドンッとプリントしたTシャツを作りました。
デザイン的には久しぶりにゴシックの大きめなプリントを作りたいな、と思っていたのがひとつ。
出来上がってみると、僕なんかは少し懐かしさすら感じるものがあります。
こういうプリントの感じって昔、原宿のブティックの軒先のラックに並んでたなーみたいな。
80年代の前半。
元になったのは有名なキャサリン・ハムネットの一連のシリーズだと思うけど、あの感じのデザインが、一時期一般的にも流行った。
あの感じとは、例えばこのビデオの『CHOOSE LIFE』のTシャツとか。

メッセージがファッションになる、というか、メッセージ=ファッション、みたいな楽しさと真面目さの共存がとてもとても斬新だった。
1984年のこと。
この年はバンド・エイドそして翌年のライブ・エイドとかがあって、政治的・社会的なメッセージがとてもいい具合にポップに広がった時期だった。
それをとてもカッコイイ!と思いましたよ、当時、素直に。
あ、今も、です。

はい、ということで、オマージュというには大げさだけど、そんなことをいろいろと思い出したりしたデザインのTシャツでした。
といってももともとはヴァイニル好きのひとに喜んでもらえたら、という単純な動機で制作を開始したものですが。
よかったらチェックしてみてください。